梨子が、お兄ちゃんと二人でモンスター島に行ったらしい。

　あそこは、動物園なんかにはいない、本物のモンスターが生息してる、面白い島だ。

　そんな島を、梨子が気に入らない筈がなく、モンスター島から帰って来るなり、梨子は島での事を、楽しそうにみんなに話してた。

　そんな梨子を見て、俺は何故かモヤモヤした。

　俺もあの島が好きだし、梨子もあの島を気に入ってくれて嬉しいと思ってる。

　でも、何故か心がモヤモヤする。

　何が不満なんだ、俺……？

　その時は首を傾げたが、日が経つにつれ、このモヤモヤの理由がハッキリしてきた。



　モンスター島に行って以来、梨子とお兄ちゃんが一緒にいる姿をよく見かけるようになった。

　二人がよく一緒に、朝食を食べてたのは知ってたけど、それ以外の時も、二人で仲良さげに話してるのを見かける。

　そんな二人を見かけるたびに、俺の胸はモヤッとした。

　そんな自分に

　おいおい。

　何でこんな気持ちになるんだ？

　お兄ちゃんが梨子と仲良くしてるんだぞ？

　いいことじゃんか！

　俺はお兄ちゃんに、お兄ちゃんの恋を応援するって言ったんだ。

　だから、これでいいだろ？

　そう言い聞かせてた。

　でも。

　そう言い聞かせるたびに、胸のどこかがズキッと痛んだ。

　もしかしたら、梨子の気持ちが、俺からお兄ちゃんの方に傾き始めてるんじゃないか……。

　そう思うと、妙な焦りを感じ始めてた。