置かれているピアノの台数に感動している梨子さんに「そうなんですね」と、楽器店という未知の場所の情報に相槌を打っていると

「あ！　あのピアノ！」　

　梨子さんが、ピアノが並ぶ売り場から、ぽつんと離れた場所に展示されている、一台のグランドピアノに向かって行った。

「このピアノですか？」

　見るからに特別扱いをされているピアノを見て、不思議に思いながら尋ねると

「このピアノ、やっぱりブルマさんのピアノと同じメーカーのです……」

　そう言って、梨子さんはじーっとピアノを見つめると

「うわっ……！　やっぱり高っ！！」

　小さな叫び声をあげた。

　見ると、控えめに提示された値札には「一千万ゼニー」と書かれている。

「こんなにするんですね……？！」

　楽器には高いモノもあるとは聞いたことはあったが、これ程とは……。

　驚いていると

「でも、ブルマさんのピアノ、これより上のランクのものだと思います……」

　梨子さんはボソッと呟くように言うと

「やっぱり、ブルマさんのお家って、お金持ちなんですね……」

　途方に暮れたように、ピアノを眺めていた。

　

　ピアノの売り場を離れ、再びギターの売り場へやって来た。

　壁には木目調から赤や青、黒いものなど様々な色のギターが飾られている。

　それらを眺めていると

「このギター、トランクスさんに似合いそう」

　黒いボディに、白いカバーのようなものが付いたギターを見ながら、梨子さんが楽しそうな顔をこちらに向けた。