ということは、その術はないということか……。

　この宇宙で、最も地位のある破壊神様でもご存じないということに、絶望していると

「もし『神の気』を消滅させる方法があるとして、ビルスたちが教えるとでも思うか。そんな、自分たちも不利になるようなことをヤツ等は教えんだろ」

　ベジータさんの低い声が聞こえてきた。

　信用していない――。

　そう言いたげなベジータさんは、すぐに肉にかぶりつくと、口をモグモグと大きく動かした。

　冷酷で残忍な、宇宙の地上げ屋――。

　それが、私が宇宙を旅するなかで聞いた「戦闘民族サイヤ人」に対する世評だった。

　だが、ベジータさん、それに悟空さんも、私が話しに聞いたサイヤ人とは、まるで違っていた。

　二人とも戦闘狂ではあるようだが、人間味のある優しい男たちだった。

　そして、ベジータさんには、冷静な判断力と知性が備わっており

　もし、サイヤ人の星が消滅していなければ、王になっていた。

　そう聞いた時、私は大いに納得した。

　味方としては完全に信用出来ないらしい、破壊神様の思惑を警戒しているようすに、我が惑星ドギーの王も、周りの星々に対してそうであったと、その姿を思い出していると

「そっか……。そうよね。そんな方法があったとして、私たちに教える筈ないわよね……」

　溜息交じりに、ブルマさんは肩を落とした。

　破壊神とは親交が深いようだが、いつ何時、牙を剥くか分からない。

　きっと、以前に何かあったのだろう。

　そのことを、この人たちはよく分かっているようだった。

　破壊神は惑星を滅ぼす脅威である――。