翌朝。

　いつもはトレーニングをしてから朝食をとっているが、今朝は梨子さんのことが気になって、思い切ってみんなが集まる時間にレストランに行くことにした。

　どんな顔をして彼女に会えばいいんだろうか……。

　レストランに行く途中、何度か引き返そうとしたが、やはり梨子さんのことが気になって、俺は意を決してレストランへ入った。

　いつもと違う行動をする俺に、みんな……特に母さんは怪しまないだろうか。
　
　梨子さんの親友である真琴さんに、昨夜のことが知られてないだろうか。

　そんなことを考えビクビクしながらレストランへと入ったが、二人には不思議そうな顔をされただけで、俺はホッとしながらトランクスの斜め前の席に座った。

　気不味いのは当然だが、二人きりよりは、周りに人がいた方がマシだろう。

　そう思って、この時間にレストランへ来たのだが、目当ての彼女の姿がない。

　その代わりのように、給仕をしているお手伝いロボットを見て

　あれ？

　今日はメイドの仕事は休みだったのかな？

　そう思って

「梨子さんは、今日休みなんだな」

　何気なくトランクスに話しかけると

「ああ。具合が悪いらしくて休みみたいだよ」

　そう言われてビクリとした。

　その原因はきっと……間違いなく俺だ。

　居た堪れなくなっていると

「疲れが出たんじゃない。メイドのバイトなんかはじめたから」

　続いたトランクスの言葉に、ただ乾いた笑顔を張り付けるしかなく、運ばれてきた朝食は全く味がせず、食べた気がしなかった。