「梨子さん、今朝は休んでるのか……」

　何だか沈んだ顔で呟くお兄ちゃんに

「疲れが出たんじゃない。メイドのバイトなんかはじめたから」

　心配してないわけじゃないけど、別に命に関わることでもないだろ？

　そう思ってると、お兄ちゃんは心配なのか、更に沈んだ顔で、運ばれてきたコーヒーをじっと見つめてた。

　ま、お兄ちゃんは梨子のことが好きだし、心配なんだろうな。

　俺だって……もしマイちゃんが病気で寝込んでたりしたら、お兄ちゃんみたいになると思う。

　炭酸水の泡がグラスの中で弾けるのを見つめながら

　マイちゃん、元気かな？

　いま何処で何してんだろ……。

　俺は、音沙汰のない彼女に想いを募らせた。

　
　
　梨子は夕食の時も姿を見せなかった。

　ママたちの話しじゃ、昼食も食べに来てないらしい。

　そんなに体調悪いのかよ！？

　なんて思ってたけど

　真琴が部屋に戻る時、コックからランチボックスを受け取ってるのを見て、少し安心した。

　あのランチボックスは、きっと梨子の食事に違いない。

　俺たちサイヤ人ほどじゃないけど、梨子の食欲はスゴい。

　体調が悪いとはいえ、丸一日何も食べないのはさすがに耐えられないんだろう。

　梨子にとって空腹は、更に体調を悪化させる原因になると思う。

　きっと、お腹いっぱいになれば、いつも通り元気な梨子になる。

　そんなことを思いながら、食後のお茶を飲み終わると、俺はレストランを出て部屋に戻った。