いつも大人びて見える真琴も、将来のことを考えてる高校生なんだなぁと思うと、年相応に見えた。
　
　そして、自分が好きな「剣道」を活かせる道に進もうとしてることにショックを受けた。

　対して、俺はどうだ？

　自問した。

「社長」って仕事は、俺の「好き」や「得意」を活かせる仕事なのか？

　子供の頃、悟天とよく「対決ごっこ」なんかしてたけど、今は戦うことより機械をいじってる方が楽しくなってきてる。

　これはやっぱり、ママやおじいちゃんの血なんだろう。
　
　でも、俺がママやおじいちゃんみたいな科学者兼社長になれるかは怪しい……。

　俺に科学者としての才能ってあるのか……？

　カプセルコーポレーションの社長になったとしても、ママたちみたいな「科学者」と「社長」の二つを同時に出来るのか？

　想像してみたが

　……ダメだ。

　想像出来なくて、心の中で肩を落としてると

「将来の夢か……。トランクスにはあるのか？」

　お兄ちゃんに話し掛けられて、ビクリとした。

　考えてた事を見透かされたのかと思って、動揺するのを誤魔化しながら

「っ夢？　そういうの考えたことないんだよね」

　この前、梨子に話したのと同じことを言うのはさすがに恥ずかしくて、素っ気なく答えると、お兄ちゃんは「そうか……」って、苦笑いを浮かべた。

　その苦笑いを見て、素っ気ない態度をとったことを後ろめたく感じ

「お兄ちゃんは？」

　って聞き返すと、お兄ちゃんは少し考えてから

「俺も、考えたことないんだ」

　そう言って苦笑いを深くした。