いくら課題曲を練習しても、誰からも評価もアドバイスももらえない。

　そのことに苛立ってた。

　どれだけ自分の演奏に満足しても、それはただの自己満足に過ぎないってことが虚しかった。

　なのに……あの曲に執着して、私は一人で『バラード第二番』を弾き続けてた。

　でも。

　今日、思い切ってあの防音室を出てよかった！

　気分を変えて、入ったことのない空き部屋でピアノを散々弾いてよかった！

　防音室じゃないから音が漏れてて、上手く弾けなくてピアノに八つ当たりしてるのを悟空さんに聴かれて恥ずかしかったけど……！

　でも、たまたま耳にした曲をブルマさんのお母さんがリクエストしてくれて、こんなふうにみんなの前でピアノを弾く機会が出来た。

　おかげで、誰かにピアノを聴いてもらうことで、私自身が心から楽しんでピアノを弾くことが出来るんだってことに気付かされた。

　やっぱり、こうして人に聴いてもらわないと、テンションは上がらないし、弾き甲斐がないってことを実感した。

　今日、悟空さんにマコちゃんに聴いてもらえばいいって言われたけど、ホントその通り！　

　閉じることもたまには必要だけど、閉じてばっかりじゃダメなんだって、思い知った。　

　私がこうして楽しく幸せな気分でピアノを弾けるのは、聴いてくれてる人がいるから。

　すごく自分勝手な思い込みかもしれないけど、私が楽しくピアノを弾いてたら、聴く人も演奏を楽しんでくれるんだって思う。

　やっぱり、ピアノを弾いてる時って私にとって最高の時間なんだ！　って思えた。

　それに。

　ブルマさんたちに褒めてもらえるし！