『ラプソディ・イン・ブルー』はアメリカの作曲家ガーシュウィンが作曲した曲。

　クラシック音楽とジャズを融合させた音楽で「シンフォニックジャズ」って呼ばれてる。

「ラプソディ」っていうのは、叙事的や英雄的、民族的な内容を表現した自由な形式の曲のことで、民謡や神話なんかをモチーフにしたものもある、ファンタジー感のある音楽。

　だからこの曲は、予想外のメロディやリズムが飛び出してくるから、弾いててとっても面白い！

　十分以上ある曲だけど、弾いててあっという間って感じ！

　自分が奏でてるピアノの音に心を弾ませながら、最後の音を鳴らすと、少ししてから拍手が聞こえてきて、私は音の世界から元の世界に引き戻された。

「梨子ちゃん、ありがとう。やっぱりとっても素敵な曲だったわ！」

「ママの言う通り、カワイイ曲だったね。何ていう曲だい？」

　煙草を咥えて、微笑むブルマさんのお父さんに聞かれて

「『ラプソディ・イン・ブルー』っていう曲です」

　って答えると

「へー。弾いてる梨子ちゃんも楽しそうだったし、いい曲だったわ」

「ええ！　すごくいい演奏でした！」

　そう言ってくれるブルマさんとトランクスさんも、同じように微笑んでた。

　そんな、みんなの顔を見てハッとした。

　そう言えば、最近人前でピアノを弾いてなかったなー。って。

　一人きりでピアノを弾いてたなぁ。って。

　……あれ？

　何でそうなっちゃたんだろ？

　振り返ると、あの曲が思い当たった。

　学校で課題曲として出された、ショパンの『バラード第二番』。