「いやぁ、助かったよ。いつもはロボットに任せてるんだが、今日はメンテナンス中でね。おかげで、みんなを待たせずにすんだ」

　食事を終え、満足そうにしている黒猫を撫でる祖父に

「いえ。お役に立ててよかったです」

　と微笑みながら、順番を待っていた小型の恐竜に、フルーツの山を差し出していると、足元に黒い子猫がすり寄ってきた。

　フルーツの山を芝生の上に置き、その子猫を抱え上げると、子猫は「ミャー」と可愛らしい声で鳴いた。

「はは。トランクス君に遊んでもらいたいみたいだな」

　祖父はそう言って笑うと

「最近梨子ちゃんに遊んでもらってないからなぁ。寂しいんだろ」

　と、子猫の頭を撫でた。

　梨子さんは動物が好きらしく、祖父が飼っているペットとよく遊んでいるのだと言っていた。

　だが、祖父の今の言葉で、最近はそうでないことを知り

「そうなんですか？」

　と尋ねると、祖父は「うーん……」と思案顔をしてから

「最近ピアノの部屋に籠ってることが多いからね……」

　と、困ったように微笑んだ。

　やはり、この地球に来たばかりの頃とは違ってきているらしい梨子さんに、またドクドクと胸が鳴りはじめていると

「所謂ホームシックというヤツなのかもしれないなぁ。この地球に来て三ヵ月以上経つしねぇ……。もし、何か不安や悩みがあるなら聞いてあげるのがいいと思うんだが……。そうすれば梨子ちゃんも、少し楽になるかもしれない。そしたら、また動物たちとも遊んでくれるだろ」

　そう言った祖父の目は、俺をじっと見つめていた。