そんな悟空さんを見て

「何よ、何の話し？」

　ブルマさんが、キョトンとした顔で聞いてきた。

　確かに、悟空さんが梨子にアドバイスなんて不思議だろ。

　私からしてみれば、終わらせた話しを蒸し返したくないと思ったが

「修行の話しさ」

　誤魔化すというよりは、言葉足らずな悟空さんの一言で、ブルマさんだけじゃなく、トランクスさんまでも不思議そうな顔をするから

「梨子のピアノの練習が修行みたいなもんだって話しです」

　って、フォローを入れた。

　するとブルマさんは

「孫くんが梨子ちゃんにアドバイスなんかしてるから、何かと思ったら……」

　呆れたたような顔をしてから

「っていうか、ピアノの練習とあんたたちの修行とは違うでしょ」

　顔を顰めた。

　そんなブルマさんに

「同じようなもんだろ？　自分を鍛えんだからさ。だから、独りでやってたって限界があるんだよ。それにこだわってやってると、伸びるもんも伸びねぇからさ」

　悟空さんがそう説明すると

「ああ。そういうことでしたか」

　トランクスさんの納得した声が聞こえてきた。

「確かに、独りでの修行には限界がありますからね」

　一人で修行してたことの方が多いだろう、トランクスさんの実感のこもった声に

「だろ？　じゃあ、やっぱり梨子も誰かにピアノっちゅーやつを聴いてもらった方がいいんじゃねぇかってオラ思うんだ」

　悟空さんがそう言ってニッと笑うと、梨子は表情を少し緩め

「……じゃあ、マコちゃん。あとで聴いてもらっていい？」