分からない……。

　朝食を終えて部屋へと戻った俺は、梨子さんの気持ちが理解出来ず、頭を抱えていた。

　昨夜の俯き黙り込んでいた彼女とは違い、今朝の梨子さんはいつもと同じように、笑顔も多くよく喋った。

　もしかして、昨夜は体調でも悪かったんだろうか？

　そんな心配が頭を過ったが、昨夜のことを持ち出す勇気はなく、聞くことは出来なかった。

　やはり、母さんの言う通り、心配するようなことは何もなかったということなんだろうか？

　もしそうなら、俺の考え過ぎだったということで、それでいいのだけど……。

　ホッと安堵の息を吐いたのと同時、外から父さんと悟空さんの気が高まりはじめたのを感じた。

　どうやら、庭で組み手がはじまるらしい。

　このカプセルコーポレーションには、敷地より外に害が及ばないように、バリアのようなものを張れるようになっているので、多少の気のぶつかり合いなら防ぐことは出来る。

　が、もし。二人が本気を出しでもしたら、そんなものはきっと役に立たないだろう。

　さすがに二人ともそれぐらいは分かっているだろうから、フルパワーでぶつかることはないとは思うが……。

　そんなことを思っていたら、外からビリビリと気が膨れ上がっていくのを感じて、思わず窓に張り付いた。

　窓の外を見ると、超サイヤ人になった二人が空中で構えているのが見える。

　いやいや！

　超サイヤ人はマズイんじゃないのか？！

　そう思って二人のようすを窺っていると、視界の端に、梨子さんとブラちゃんが手を繋いで歩いて来るのが見えた。