翌朝。

　いつも通り、重力室でのトレーニングを終えると、朝食をとる為レストランへと向かった。

　今朝は時間をずらそうか……。

　梨子さんと顔を合わせるのが億劫で、そんな考えが頭を過ったが、嫌われたのだとしても、梨子さんの姿を一目見たいという気持ちの方が勝り、足はレストランの方へと向いていた。

　昨日までは胸を躍らせレストランへと向かっていたが、今は胸の中はどんよりと曇っていて足取りも重い。

　レストランが近付くにつれ、彼女と会った時、どういう態度をとればいいんだろうか？

　そんな疑問が浮かび、ビクビクしてしまう。

　露骨に嫌な顔や目を逸らされたりすると、精神的ダメージが大きいのは明らかだ。

　……今日はこのまま部屋へ引き返そうか。

　一旦立ち止まり、回れ右をしようとした時

「おはようございます！」

　後ろから、梨子さんの明るい声が聞こえてきた。

　いつもなら嬉しいはずの状況だが、今朝は狼狽えるように、ビクリとしながら後ろを振り向くと、そこにはいつも通り、ニコニコと微笑むメイド姿の梨子さんが立っていた。

　昨夜の彼女は一体何だったんだ？！

　そう思っても仕方ない、普段通りの梨子さんの笑顔に

「お、おはようございます……！」

　戸惑いつつ挨拶を返すと

「トランクスさんも、今から朝ご飯ですか？　私もこれからなんです！　一緒に食べてもいいですか？」

　彼女は可愛く小首を傾げた。

　その姿に

「え、ええ……。もちろん」

　俺は狐につままれたような気持ちになった。