「なっ、何を言ってるんですか……！」

「下心はありました」って言わんばかりに、トランクスは動揺した。

　ぷっ！　正直な子ねー。

　吹き出しそうになるのを我慢して

「もしかして、キスしちゃったとか？！」

　驚いた顔をすると

「っ！　す、するわけないじゃないですか！」

　あっただろう下心を隠すように、慌てて否定してきた。

　やっぱり、この子も男なのねー。

　なんて、何とか理性は保ったらしい息子をしみじみ見つめながら

「ふふっ！　冗談よ。でも、キスくらいすればよかったのに」

　せっかくのチャンスだったのに！　面白くないわね。って感じで言うと、トランクスは顔を赤く染めて黙り込んだ。

　まぁ、恋愛初心者に「キス」はハードルが高いか……。

　って、思いつつ

「女は強引なことされると弱いんだから。今度チャンスがあれば、キスくらいはしちゃいなさいよ！　いいわね！」

　トランクスの顔に向けて人差し指を立てると、トランクスは恥ずかしそうに顔を引き攣らせた。

　その反応が、こっちの世界のトランクスとそっくりでイヤになっちゃった。

　どっちのトランクスも、こと恋愛に関しては押しが弱いんだから！

　せっかく男前に産んであげたんだから、もっと恋愛して人生を楽しんで欲しいのに。

　ま、どっかのヤムチャっていう男みたいにはならないで欲しいけど……。

　さて、それより。

　トランクスが梨子ちゃんと夜のデートをしてたって知ったら、もう一人の我が子はどんな反応するかしら？

　そんな悪戯心が湧いてくると、ますます胸が躍りはじめた。