「俺の世界でも、まだ貴重なものなんですよ」　

　トランクスさんはそう言って、同じように苦笑いを浮かべた。

「タイムマシンの燃料になるものなら、スゴイものって感じがします！」

「そうですね。俺たちの世界では、まだそのエネルギーを抽出する装置が不完全で、抽出するのにとても時間がかかるんです」

「そうなんですか？！」

「はい。なので、もう少し効率良く抽出することが出来ないか、ここのデータを見せてもらっていたんです」

「へぇ……。それで、分かりましたか？」

　どうだったんだろ？　ちょっと興味が湧いて隣りを見上げると

「それが、データの量が膨大で……。まだ最後まで読めてないんですよ」

　トランクスさんはそう言って、苦笑いを浮かべた。

「そっか……。科学の研究データって、膨大なうえに難しそうですもんね」

　楽譜を読むのとは、また全然違うよね。

　そう思って、小さく溜息を吐くと

「梨子さんは、ピアノの練習をされてたんですか？」

　聞かれて、私は「はい……」って、曖昧な笑顔で答えてた。




　ゲストルームが並ぶ階の廊下を歩いてると、廊下の窓から、綺麗な白い三日月が見えた。

「わぁ、綺麗な三日月」

　思わず立ち止まって、空を見上げると

「ホントですね」

　トランクスさんの感動するような声が、すぐ後ろから聞こえてきた。

　この地球から見える月も、私たちの地球から見てた月と同じで綺麗だよね……。

　ぼんやり、そんなことを思ってると

「空に行ってみませんか？」

　突然された提案に「え？」って、私は後ろを振り返った。