穏やかさと激しさが交互に現れるから、弾いてて楽しいんだけど、途中の激しい部分がなかなか難しい……。

　だから、いつもその部分を学校の先生には指摘されるんだよね。

　私なりに凄く激しく弾いてるつもりなんだけど、先生にはそれが伝わらないみたい。

　甲斐先生……あ、マコちゃんのお母さんね。には、拍手もらえるんだけど……。

　楽器演奏の評価って、人それぞれの感性によるものが大きいから、本当に難しいんだよね。

　それが、たまにイヤになってイライラしちゃう。

　音楽って、演奏する方も聴く方も、どちらも楽しければそれでオッケーじゃない？

　って、単純に思っちゃう。

　でも、クラシックの世界は、そうはいかないみたい……。

　あー……。

　この地球に来てから、このバラードだいぶん練習したよ。

　どう？

　上手くなった？

　先生の言う通り弾けてる？

　評価を聞きたいんだけど、残念ながら先生はここにはいない。

　ブルマさんたちの前で、自由にピアノを弾けることが最初は楽しくて仕方なかったのに、最近はそれが物足りなく感じ始めてた。

　私が弾くピアノを、正当に評価してくれる人がいないことがつまらない。

　勝手な話しだよね。

　あんなに授業でピアノを弾くのを窮屈に感じてたのに、解放されてしばらくすると、物足りなさを感じてる。

　学校から離れて分かった。

「自由」って「不自由」があるから価値があって眩しく感じるんだね。

　当然のことなんだけど、それを思い知らされた私は、すごく自分の住んでた場所を恋しく思い始めてた。