呆れながら言うと

「そっ、それはちょっと……！」

　無理だって感じで、表情を硬くする顔に拒否された。

　何だ、案外意気地がないんだな。

　普段は……特にベジータさんや悟空さんと手合わせしてる時なんかは、威勢も良くて堂々としてるのに。

　やっぱ、恋愛に関しては初心者だから仕方ないか。

　そんなことを思いながら

「でも、そういうこと言われたら、梨子は喜ぶと思いますよ。褒められて喜ばない人間はいませんし。ちょっとした一言で、何とも思ってなかった人間を好きになったりしますからねー」

　テレビか雑誌で目にした、受け売りの恋愛知識を、さも恋愛通ぶって動揺する青い目に披露すると

「そ、そうなんですか？」

　トランクスさんは、少し食いつくような素振りを見せた。

「そんなもんですよ。ちょっとしたきっかけで、人の心は動くもんです。だから、トランクスさんも頑張ってみたらどうですか？　よく梨子と話したり、ご飯食べたりしてるんだから、チャンスはいくらでもあるでしょ」

　純情なイケメンを、そう言って煽ると

「……でも。俺がそんなことを言っても、無駄だと思います。梨子さんには、好きな相手がいるみたいですから……」

　困ったように、弱い笑顔を見せるトランクスさんに「え？」って、聞き返すと

「梨子さんは、トランクスのことが好きみたいなので……」

　トランクスさんはそう言って、苦笑いを浮かべた。

　は？

　トランクス？

　トランクスさんの言う「トランクス」っていうのは、この世界のトランクスのことか？　と、考えつつ