次の日の朝。

　レストランに行くと、いつものように梨子さんがみんなの食べ終えた朝食の後片付けをしていた。

「おはようございます」

　声をかけると

「あ、トランクスさん！　おはようございます！」

　今日も幸せな一日になりそうな、明るい笑顔がこっちを振り向いた。

「すぐに朝ご飯の用意しますね！」

「片付けが終わってからでいいですよ」

　慌てたようすの梨子さんにそう言って笑いかけると

「すみません……！　すぐに片付け終わらせますから！」

　梨子さんは、キャスターの付いたワゴンに、使い終わった皿やコップをせかせかと載せはじめた。

　その姿が微笑ましくて

「急がなくて大丈夫ですよ」

　頬の辺りを緩ませながら

「俺も手伝います」

　そう言って、ワゴンに掛けてある固く絞ったクロスを手に取り、彼女が空けたテーブルの上をクロスで拭きはじめると

「あぁ、すみません！」

　申し訳なさそうな顔が、こっちに向けられた。

「いいですよ。二人で片付けた方が早く終わりますし」
　
　俺は「気にしないでいい」というふうに、彼女に笑顔を返した。

　実際、サイヤ人のいる食卓は、食器の枚数が多くなるので、二人で片付けた方が明らかに早く片付く。

　それに、俺には少しでも早く、梨子さんと一緒に朝食を食べたいという欲望があった。

　彼女と二人きりで、ゆっくりと過ごせるのは、俺には朝のこの時間だけだ。

　だから、この時間を少しでも長く……少しでも手応えのある時間にしたい。

　そう思っていた。