「梨子！」

「トランクス君！」

　見上げる顔に安心したけど、傍に倒れてるヤツ等のことを思うと不安は消えず

「大丈夫か？！」

　空から地上に下りて、少し疲れた顔に聞くと

「うん……何とか」

　梨子は眉を寄せて微笑んだ。

　その顔を見て

「ハァー……よかった……」

　大きく息を吐いたけど、梨子の擦り剝けた両足を見て、息が詰まった。

　大丈夫じゃないだろ……！

　心の中で反論してると

「心配してくれたんだ。ゴメンね」

　梨子が冗談を言うように微笑んだ。

「当たり前だろ！　俺が梨子を一人にしたんだから！」

　自分を責める気持ちから、思わず大きな声が出すと、梨子は少し驚いた顔をした。

　最悪の場合、梨子は死んでたかもしれない。

　そう思うと、自分の判断が正しかったとは思えなくて、梨子の驚いたような顔を見つめ、後悔に駆られてると

「トランクス、梨子さんを連れて、悟空さんたちのところへ行ってくれないか」

　お兄ちゃんの淡々とした口調が聞こえてきた。

「お兄ちゃんは？」

　疑問に思って聞くと

「俺は街を見回って来る。まだ、こいつ等のように街をうろついてるヤツ等がいるかもしれない」

　お兄ちゃんは足元に倒れてるヤツを見下ろし、そう答えると「頼んだぞ」と言い残し、街の中心に向かって飛んで行ってしまった。
　
　お兄ちゃんを見送ると、俺たちは言われた通り、街の上空にいる悟空さんたちのところへ行くことにした。