一人は紫色で、どう見ても人じゃない。

　そしてもう一人は、私たちと変わらない姿をしてた。

「この星の女か。悪くないな」

　ニタリと嫌な笑顔を浮かべる、決して善良そうに見えない二人を警戒してると

「ああ。この星を頂くのは無理そうだからな。代わりにこの女でももらって行こうぜ」

「そりゃいいな！　丁度溜まってたとこだ」

　そんなことを話しながら、二人組が近付いて来た。

　二人の会話を聞いて身の危険を感じた私は、数歩後退ると、すぐに後ろを向いて逃げ出してた。

　ダメ……！　絶対ヤバい展開になる！！
　
　捕まったら、創作物にありがちな展開になる気しかしない！

　最悪な想像が頭を過って、私は足が痛むのを我慢して、必死に走った。

　だけど、全速力で走ることは出来なくて、そんな自分にもどかしさを感じながら、とにかく二人組から離れることだけ考えて走った。

　さっき通り過ぎて行った人たちを追い抜き、破壊されてない、綺麗な街並みのままの場所に差し掛かったあたりで

「それで逃げてるつもりか？」

　笑う声が後ろで聞こえた。

　怖いのもあるし、後ろを振り向く余裕もなくて、ただ前を見て走ってると、突然グッと腕を後ろに引っ張られ、私はそのまま地面に倒された。

「キャッ！」

　背中にアスファルトの固さが強く伝わって、一瞬目を閉じてから、すぐに目を開くと、ニヤニヤと笑う紫色の顔と人の顔が、品定めでもするように、仰向けになった私を見下ろしてた。

「美人じゃねぇが、よく見るとカワイイ顔してやがる」

「久し振りの女だ。楽しませてもらうとするか」