フリーザが一瞬の隙を突き、父さんの鳩尾に拳をめり込ませた。

　顔を顰め、身体をくの字に曲げる父さんに、フリーザは容赦なく攻撃を浴びせはじめる。

　マズイ……！

　完全にリズムが崩れ、防戦一方になった父さんに、フリーザは気弾で更なる攻撃をしかけようとした。

　が、その瞬間――。

　金色の気が放たれ、父さんは超サイヤ人へと変わり、フリーザがつくり出していた気弾をかき消していた。

　おそらく、力を温存するために、ここまで超サイヤ人にならずに戦っていたのだろう。

　その判断に

　さすがだ……！
　俺なら、最初から超サイヤ人になり、全力で戦いに臨んでた……。

　自分の未熟な思考に、悔しさを噛み締めていると、薄笑いを浮かべるフリーザが一気に気を高めた。

　その途端、空から爆風のような風が街に吹き付けてきて、俺は煽られそうになっている真琴さんを庇いながら、上空で対峙する二人を見つめた。

　爆風が治まり、少しすると

「ベジータさん、いけそうですね！」

　真琴さんの昂った声が聞こえてきた。

「ええ！　まだ気を抑えてるのに、この力……！　さすが父さんだ！」

　さっきとは逆転し、父さんがフリーザに畳みかけるように攻撃をしかけはじめた。

　しかも、まだ気は抑えた状態で、表情を変えることなく、攻撃を繰り出している父さんのその余裕さに「勝利」の二文字がチラつき

　よし、いける！

　そう思いながら、悟空さんたちの活躍で、フリーザ軍兵士たちがほぼいなくなった空を見渡していると、突然背後に不穏な気配を感じた。