音がした上空を見上げると、ベジータさんとさっき見たラスボスが戦ってるのが分かった。

　遠過ぎて肉眼で確認することは出来ないが、ベジータさんとラスボスの気が、激しくぶつかり合うのが伝わってくる。

　それに、お互いが攻撃を繰り出す度に、衝撃波が空気を通してビリビリと降ってきて、地上の建物や窓ガラスを震わせていた。

「スゴ……。映画みたい……」

　想像以上に激しく、現実離れした戦いにポカンと口を開ける私の横では

「さすが父さんだ……！　まだ超サイヤ人になってないのに、フリーザに負けてない！」

　トランクスさんが両手を握り締め、興奮していた。

　ベジータさんと悟空さんが庭で手合わせしてるのは見てたけど、本気の戦いっていうのはコレなのかと思うと、前にブルマさんが「ケタ外れの肉弾戦」と言ってたことに大いに納得した。

「戦いって、いつもこんな感じなんですね……」

　顔が引き攣るというか……ただ普通に「引く」って感じで呟くと

「え？　ああ、そうです。……驚きましたか？」

　気遣う声がして

「驚くっていうか、引いてます……」

　正直な気持ちを述べた。

　映画やアニメの世界でしか見ることの出来ないものだから人は興奮するんであって、現実でこんな戦いを見せられたら、引くのが普通だろ。

　絶えることなく聞こえてくる衝撃音と、空気の振動にもだいぶん慣れてきて、気を確かめながら空を見上げてると、衝撃音が止んだ。

　次は何が起きるんだ？　と、空に浮かぶ白いオーラと黒いオーラを凝視してると、ベジータさんの気が大きく膨れ上がり、次には白いオーラが金色へと変わった。