「知らない……？　それはそれは……あなたにとって、私など記憶にも残らない程の存在だったということでしょうか……。フフ……宇宙の帝王と言われた私も舐められたものですね！！」

　ブワッ！　と、どす黒いオーラを更に高め

「では、二度と忘れられないようにしてあげましょう！」

　そう叫ぶと、もの凄い速さで俺に向かって来た。
　
　何なんだよ？！

　身に覚えのない発言をする敵を訝しみながら、繰り出してきた拳を避けると、すぐに反対の拳を繰り出し、ヤツは連撃を仕掛けて来た。

　くそっ、速いっ！　反撃する隙がない……！

　繰り出される拳の、一撃一撃の速さと重さに、守りに入ることしか出来ず、ただ耐えていると

「フフッ。守りに入るなど、サイヤ人ともあろう者が情けないですよ！」

　宇宙人は薄笑いを浮かべると、サッと態勢を低くし、俺の足を払った。

　急に攻撃パターンを変えられ、対応が遅れた俺は、すぐに繰り出されたヤツの蹴りを思いっきり食らってしまい、その衝撃で吹き飛ばされた。

　くそっ……！！

　飛ばされる身体を何とか急停止させ、反撃しようと、ヤツに向かって行こうとしたその時――。

　ヤツはもう、俺の目の前にいて、気味悪い笑顔を浮かべてた。

　ヤバイっ！！

　俺は咄嗟に防御の態勢に入ったけど、間に合わず、ヤツの拳は見事に俺の右頬にめり込んだ。

　ぐっ……！！
　　
　何とか踏み留まりはしたけど、態勢を立て直す間もなく次の攻撃を仕掛けられ、またヤツの拳が振り下ろされようとした、その瞬間――。

　ヤツは衝撃音と共に、真横に吹き飛んでいった。