トランクス君の運転するエアカーで、街の中心へと走ってると、助手席に座る悟天君が

「自分が三人もいるなんて、いいなートランクス」

　羨ましそうに、隣りの運転席に座るトランクス君へ顔を向けた。

　そんな悟天君に

「俺は複雑だけどな」

　トランクス君は、冗談なのか本音なのか、淡々とした言葉を返すと

「えー！？　何でさ？　自分以外に自分が二人もいるなんてスゴイって！」

　悟天君は、トランクス君の発言が信じられないって感じの声をあげた。

　そしたら
　
「あのなぁ。他人事だからそんなふうに言えるんだよ。中身も同じ自分ならいいけど、他の二人は自分とは考え方も性格も違う別人なんだぞ！　比べられたりするし、いいことなんてほとんどないからな」

　そんな愚痴っぽい言葉が、トランクス君から返ってきた。

　その発言を聞いて、私はふと、ベジータさんとトランクスさんが毎日修行してる光景が頭に浮かんできた。

　それで、何となくトランクス君の言ってる意味が分かった気がして

　もしかして、トランクス君、トランクスさんのことライバルみたいに思ってるのかな？

　目の前の、藤色の後頭部を見つめ思ってると

「そうかなー？　僕はもう一人自分がいたら会ってみたいけどなー」

　会った時のことを想像してるのか、楽しそうな声が助手席から聞こえてきた。

　だから

「悟天君は、悟空さんが同じ自分みたいなもんじゃない？」
　
　見た目だけじゃなくて、性格も悟空さんに似てる気がする悟天君にそう言うと

「いっ？！　そ、そんなことないよ！」

　後ろを振り返る悟天君は、すごく嫌そうな顔をしてた。