今日は、梨子さんはレストランに来るだろうか……。

　朝――。

　起きるなり、彼女のことが頭をよぎった。

　結局、昨日は梨子さんには会えず、ギターを返すことも出来なかった。

　ただ……。

　顔を合わせても、彼女が俺に対してどんな反応をするのかを想像すると怖くて、顔を合わせなくてよかったと、ホッとしているところもある。

　しかし、同じ家で暮らしてる以上、顔を合わせないことなどない。

　梨子さんに会った時、どんな顔をすればいいんだ……。

　会いたいが、梨子さんに会うことを考えると憂鬱な気分になった。

　こんな事態を招いたのが全て自分のせいだと思うと、ただただ自分に腹が立ち、そして後悔する。

『やってくれましたね』

　昨日、俺の部屋にやって来た真琴さんの、責めるような黒い瞳を思い出す。

　何を言われても仕方ないと覚悟して、梨子さんのようすを聞くと、真琴さんは呆れたように溜息を吐き

『……しちゃったもんは仕方ないです。ただ、やっちゃったなら、潔く告っちゃってください。あの子も何であんなコトされたのか解らなくて混乱してるんで』

　そう言った後

『頼みますよ』

　と、念を押されたことを思い出すと、更に憂鬱になり、後悔の波に呑み込まれた。

『頼みますよ』

　あの言葉には「ケリをつけろ」という意味も込められていた気がする。

　こうなってしまったんだ……。仕方ない、自分の想いを彼女に告げよう……！

　そう決心すると、俺はベッドから起き上がった。