昼食を食べ終わると、口先で言ったこととはいえ一応テスト勉強をしようと部屋に戻った。

「テスト勉強なんてするの久し振りだな」

　新鮮な気持ちで机に向かってはみたけど、一時間もすると飽きてきて「ちょっと休憩」そう言うと、椅子から立ち上がってた。

　人間の集中力って、もって二十分くらいだって言うしな。

　そう自分を納得させ

「コーヒーでも飲むか」

　大きな独り言を言って部屋を出た。

　コーヒーを飲むのを口実に、部屋を出てレストランに向かってると、途中、リビングからコーヒーの香りとお兄ちゃんの気が流れてきた。

　たまにはお兄ちゃんとコーヒー飲むのもいいな。

　そう思って

「お兄ちゃん、俺も一緒にコーヒー飲んでいい？」

　って言いながらリビングに入って行くと、そこにはソファに座るお兄ちゃんの他に真琴もいて、思わず固まってしまった。

「トランクス？　トランクスもコーヒーを飲みに来たのか？」

「あ、う、うん」
　
　お兄ちゃんの言葉に、気持ち後退りしつつ答えると

「じゃあ、三人で飲もう」

　お兄ちゃんはそう言って微笑むと、ソファから立ち上がり、近くにある壁面のモニターから俺の分のコーヒーを頼んでくれた。

　仕方なく、二人が座るソファから少し離れたテーブル席に着くと

「明日からテストなんだって？」

　お兄ちゃんから聞いたのか、真琴が話しを振ってきた。

　見つめてくる、妙に圧を感じる黒い目に

「ああ、うん」

　て返すと

「あんた、テスト勉強なんてしなくても大丈夫そうだからいいね」