学校から帰って来ると、庭に悟空さんと真琴が向かい合って座ってた。

　悟空さんが真琴に何かを教えてるようすからして、間違いなく修行中だろう。

　邪魔しちゃ悪いなとは思ったけど

「悟空さんこんにちは！」

　って声を掛けると、悟空さんは振り返って「よぉ、トランクス！」笑顔を向けるなり、すぐに真琴の方へと向き直った。

　……いつになく熱心だな。

　山吹色の胴着を横目に見ながら家に入って、自分の部屋へ向かって歩いてると、正面からお兄ちゃんが歩いて来るのが見えた。

　何か考え事でもしてるのか、難しそうにする顔に「ただいま」って声を掛けると、お兄ちゃんは

「！　おかえり。今日は早いんだな」

　驚いた顔を俺に向けた。

「ああ、うん。今日からテストでさ、今週は学校午前中までなんだよ」

　帰宅時間の早さの理由を答えると

「テスト？　へぇ、そうなのか」

　お兄ちゃんは初めて知ったって感じで、感心と納得とが混ざったような表情を浮かべた。

　確か、お兄ちゃんは人造人間のせいで、学校に行くことが出来なかったって言ってたっけ……。

　お兄ちゃんからしたら「学校」って未知の場所なんだろうな。

　同じ自分だけど、全く違う世界で生きて来た自分に、何だか複雑な感情が湧き始めてると

「じゃあ、勉強しなくちゃな」

　同じ顔にニコリと微笑まれ

「お兄ちゃんなら分かるだろ？　テストなんて勉強しなくても余裕だよ」

　俺はそう言って肩を竦めた。

　そしたら

「だとしても、やればもっと深く理解できるようになるんじゃないか？」