真琴ちゃん自身、信じ難いって雰囲気を醸し出しながら、足先に視線を落とした。

　私だって、これまで不思議なことはたくさん体験してきたけど、この手の話しは初めてで信じ難い。

　けど、現実的なことしか信じない真琴ちゃんが言うからこそ、信憑性を感じて

「そう。真琴ちゃんが言うなら、それは本当のことなんでしょうね」

　私は納得したことを表すように一度頷くと

「それで、デジャブが予知夢の前兆かもしれないって思ったわけね？」

　黒く澄んだ目に尋ねると、真琴ちゃんは小さく頷き

「夢に出て来るポメ姫の姿がハッキリしてくる程、悟空さんやトランクスさんとの気の修行が上手くいくんです。だから、予知夢の前兆っていうのもそうなのかもしれない。そう思ったんです」

　私を真っ直ぐ見つめ答えた。

　ウィィィィン、ジィィィ。っていう毎日聞いてる低い機械音が、やけに耳についた静寂の後

「この話し、まだ梨子ちゃんにはしてないのよね？」

　無意識に組んでた腕を解き、真琴ちゃんを見つめ返すと

「そうですね。まだ言ってないです」

　淡々とした口調が返ってきた。

　その口調に、まだ梨子ちゃんには話す気は無いことが分かって

「まぁ、まだ不確かなことだから、話して梨子ちゃんに余計な心配させちゃうのもね……」

　真琴ちゃんの意図は解ったっていうふうに、肩を竦めると

「はい……。梨子にはハッキリ予知夢だって断言出来るようになってから話そうと思います」