もしかすると、今は無き故郷の星を思い出しているのかもしれない。

　もし、その惑星が存続していたならば、この方は良き王になっていただろう。

　そんなことを思いながら

「城以外の場所は、石化を免れた者たちが力を合わせ復興に尽力してくれたようで、以前のように町や村は賑わいを取り戻していました。本当に頭が下がります」

　四十年の間に、更により良い星となった故郷の変貌に、人間の底力を目の当たりにした時の感動を滲ませていると

「人間も捨てたものではありませんねぇ」

　ウイス様から感心する声が聞こえた。

　すると

「でしょ？　人間だってやる時はやるのよ！　この地球は大丈夫だけど、トランクスが来た未来の地球なんて、惑星ドギーと似たようなものだったんでしょ？　それをみんなで協力して復興させたのよ！　ねぇ？」

　ブルマさんは窓の傍に立つトランクスさんへと視線を投げた。

　そう言えば、トランクスさんも人造人間という者たちに破壊された、別の次元の地球から来たと言っていた。

　確かに、境遇は少し似ている。

　惑星ドギーにダーブラが攻めてきた時、私も彼と同じ歳か少し若いくらいだった。

　そんな、窓の傍に立つ青年に親近感を感じていると

「そうですね。人が力を合わせれば、とても大きな力になります。生きる希望さえ失わなければ、何度でもやり直すことが出来る。俺は、それを自分の世界で実感しました」

　トランクスさんが力強い笑みを私に向けた。

　その微笑みの裏にはとてつもない苦労をしてきたことが窺がえ、私はそこにトランクスさんの強さを見た気がした。