魔法を目の当たりにして、ますます、この地球を離れるのが名残惜しくなった。

　……もっともっと、この地球のことを知りたかったなぁ。

　青い空を見上げ、ぽつり思ってると

「梨子さん」

　名前を呼ばれて「はい」って振り返ると、そこには、申し訳なさそうな顔をしたコッカーさんが立ってた。

「いよいよ、帰られる日になりましたね」

　コッカーさんは、私の顔をじっと見つめ、しみじみ言うと

「私がドラゴンボールを使ったために、あなたまで危険なことに巻き込んでしまって、本当に申し訳ありませんでした」

　そう言って、深々と頭を下げた。

　そんなコッカーさんに

「あ、謝らないで下さい！　コッカーさんがドラゴンボールで呼んでくれたおかげで、私、この地球に来れたんですから！　コッカーさんには感謝してるんです！　だから、謝らないで下さい！」

　私は気にしないでっていう思いを込めて、にっこりと笑顔を返した。

　ホッとしたように、顔を上げたコッカーさんは

「ありがとうございます、梨子さん。そう言っていただけると、私の罪の意識も少し薄らぎます」

　穏やかな顔をすると

「梨子さん、あちらの地球に帰られても、どうかお元気で」

　すごく優しい目で、私を見つめ微笑んだ。

　その顔に、また、目頭が熱くなるのを感じた私は、それを誤魔化すように

「ありがとうございます！　コッカーさんも、元気でいて下さいね！」

　明るい口調を意識して、何とか笑顔を作った。

　笑顔をキープしながら

　次に目頭が熱くなった時は、きっと泣いちゃう……！