姿見の前で、全身のチェックをしてから、少し曲がった、赤いボウタイリボンを整え直す。

　この地球に来る前は、毎日のようにしてた身支度が、今日はすごく新鮮に感じた。

　そりゃ、そうだよね。

　だって、この制服着るの……えっと……五ヵ月ぶり？　五ヵ月ぶりだよ！？

　とりあえず、ジャンパースカートのファスナーが、無事閉められたことにホッとしながら、姿見に映る、制服姿の自分をじっと見つめた。

　少し、浮腫んでるような気がする顔。

　両手で包み込むと、昨日の夜のことを思い出して、そのまま顔を覆いたくなった。

　昨日は、一日中、泣かないようにって、我慢して過ごしてた。

　笑顔でいなきゃって、自分に言い聞かせてた。
　
　でも、西の都の夜景を見ながら、トランクス君と話してると、とうとう我慢出来なくなって、涙が溢れてきた。

　自分の記憶では、大声で泣き喚いてないとは思うけど……結構長い時間、この地球を離れる寂しさから、泣いてた気がする。

　しかも、トランクス君の胸にしがみ付いて……。

　私が泣き止むまで、空中に突っ立ったままでいてくれたトランクス君のことを思うと、本当に悪いことしたなって思う……。

　一応、泣き止んだ後に「ゴメンね」って謝ったら「別にいいよ」って、いつもと同じクールな返事が返ってきたけど、本当は迷惑だっただろうなって思う。

　だって、トランクス君、私の方を全然見てなかったんだもん……。

　最後まで、トランクス君には迷惑かけたなぁって思うと、私は帰る前にもう一度

　トランクス君に「ありがとう」って、伝えなくちゃ。

　そう思った。