それなら、最後くらい恥かいてもいいだろ！　後悔しないように動けよ！
　あんたの梨子への気持ちってのは、その程度のもんだったのか？！

　明日には、トランクスさんの恋が完全に終わるという安心感もあるからか、私は串に刺さった肉に噛みつき、心の中でトランクスさんを煽っていた。
　
「成就するな」と願ってた思いとは、矛盾してることは分かってる。

　ただ、トランクスさんには、最後に男気を見せて欲しかった。

　すると、そんな私の心の煽りが聞こえたのか、こちらを振り返ったトランクスさんは、ギクリとした表情を浮かべると、席を立ち、私の座るテーブルへと歩いて来た。



「どうかしました？」

　食べていた肉を、飲み込んでから尋ねると

「こちらから殺気のようなものを感じた気がして……」

　トランクスさんは引き攣った笑顔で答えると、少し前まで、トランクスが座っていた椅子に、腰を下ろした。

　殺気を込めたつもりはないが。

　心の中で、否定しつつ

「梨子と話さなくていいんですか？　明日には、あの子はこの地球からいなくなるんですよ？」

　トランクスが皿に載せた肉を、梨子が満面の笑みで頬張るようすを眺め言うと、少し間を置いて

「いいんです。俺は十分、梨子さんと話しましたから」

　寂し気な声は、続けて

「それに、俺は振られてますし、正直、話しづらいんですよ」

　自嘲気味に、そう言った。

　梨子の話しじゃ、トランクスさんは敵と対峙した時は、ベジータさん並みの強気な態度らしいが、それが本当なのか怪しく思えた。