リビングのドアを開けると、ソファに座る梨子さんと真琴さんの顔が、同時にこちらに向けられた。

　二人からの視線に、何となく気まずさを感じつつ

「今から、俺が護衛しますね」

　そう言って、二人が座るソファから、少し離れた位置にある、二人用のダイニングテーブルの方へ進んでると

「お願いします！」

　俺を見上げる梨子さんに続いて

「すみません。ありがとうございます」

　真琴さんは、ホッとしたように俺を見上げた。

　そして

「やっぱ、護衛はトランクスさんにしてもらう方がいいわ」

　溜息交じりにこぼす真琴さんに

「父さんと何かありましたか？」

　少し心配になり、尋ねていた。

　初めて会った時に比べれば、だいぶん角は取れてはいるが、父さんが厳しいことに変わりはない。

　だから、真琴さんや梨子さんに対しても、厳しい言葉をぶつける時がある。
　
　なので、真琴さん……もしくは梨子さんに対して、何か傷つけるようなことを言ったのではないかと、心配してると

「ベジータさんといると、妙な緊張感があってイヤなんですよ。何か、ずっと剣道の試合中みたいな……」

　真琴さんは、うんざりしたように、上半身をダラリと前に倒してから

「だから、護衛をトランクスさんに代わって欲しくて、ベジータさんにトレーニングに行くように勧めたんです。まぁ、本人も行きたそうでしたし」

　今度は解放されたとばかりに上半身を起こし、両腕を前に伸ばした。