寝室に入ってすぐ、小さな息が漏れた。

　疲れ。驚き。そして、残念。

　この三つの要素が混じった、溜息に近い小さな呼吸。

　その中でも、一番強い要素は「残念」だった。

　だって。

　とうとう、梨子ちゃんが第六宇宙に帰っちゃうんだもの……！

　娘みたいな、友達のような……。

　そんな梨子ちゃんが、このウチ……いえ、この地球からいなくなっちゃうことを思うと「残念」ていう気持ちが一番強かった。

　そして、私以上に、梨子ちゃんがいなくなることを、残念がるだろうブラを思うと、切なくなった。

　親子三人が寝れる広いベッド。

　その真ん中で、気持ち良さそうにスヤスヤ眠るブラの寝顔を見て

　どう話せばいいかしら……？

　心の中で溜息を吐いてると

「まったく……迷惑なヤローどもだ」

　ベッドに腰掛けるベジータから、不機嫌な声が聞こえてきた。

　険しい顔で白いブーツを脱ぎ、そっとベッドに入る姿に、私は思わずクスッて笑っちゃった。

　ま、不機嫌になるのも当然よね。

　せっかく、父娘仲良く寝てたのに、さっきのワームホールの一件で、起こされちゃったんだもん。

　ベッドに入るなり、ブラの寝顔を覗き込む姿を微笑ましく思いながら、私はブラを挟むように、ベジータとは反対の方からベッドに入った。

　私の方に、頭を向けるブラを見つめ

「梨子ちゃんがいなくなったら、ブラ悲しむでしょうね……」

　梨子ちゃんに懐いて、毎日、梨子ちゃんと楽しそうに遊んでるブラを思い出しながら呟くと