空中から地上へと殴り落とされた俺は、ガガガガガッ！　という破壊音を響かせながら、アスファルトを数メートル引き剝がしていた。

　ぐっ……！

　頬を抉られたような痛みに耐え、次にくるミラの攻撃に備え立ち上がろうとすると、ミラはすでに目の前に立っていて

「トランクス。俺との闘いに集中しろ！」

　静かな怒りに満ちた目で、俺を見下ろしていた。

　くそっ……！　やはり、梨子さんを守りながらの戦いは無理か……！？

　自分の至らなさに悔しさを滲ませ、ミラを睨みつけていると

「トワ、闘いの途中だ。余計なことはするな」

　ミラが後ろにいるトワの方を振り返った。

　梨子さんに近付いていたトワは、ミラの言葉に足を止めると

「余計なこと？　今回の計画はまずこの子を人質にすることなのよ」

　眉を寄せ、不快そうな顔をした。

　そんなトワに

「その娘を捕まえるなど、トランクスを倒した後で十分出来るだろう。俺がトランクスを倒すまでおまえは動くな」

　ミラは静かにそう言うと

「それならさっさと片付けてちょうだい！　あまり時間をかけてると、邪魔が入るかもしれないわ！」

　トワは苛立つように、ミラに言い放った。

　自分の創り出した「ミラ」という存在が、意思を持って動くことは、トワにとってあまり面白いことではないのだろう。

　二人がやり取りしてる間に立ち上がった俺に、ミラは振り返っていた顔を戻すと

「これで娘のことを気にする必要はない。ここからは俺との闘いに集中しろ」

　ミラは再び戦闘態勢に構えると、攻撃を仕掛けてきた。