しかし、容赦なく攻撃を仕掛けて来るミラをかわすことに意識を奪われ、思考はすぐに途切れてしまう。

　俺の後ろにいる梨子さんのことを考えると、このまま俺がミラの攻撃を防いでいるだけでは、彼女を巻き込む可能性があり

　それは絶対に避けなければ……！

　そう強く思うと、ミラの回し蹴りを仰け反りかわした後、俺は勢いをつけて態勢を元に戻すと、同時にミラを押し返すように、左手の拳をミラの顔めがけて突き出していた。

　残念ながら拳は空を切ったが、ただ、この攻撃でほんの一瞬間合いが取れたことで反撃に転じるチャンスが生じた。

　俺はこの機に梨子さんから少しでも離れようと、ミラを後退させるために間合いを詰め、拳と足技を織り交ぜ攻撃を仕掛けた。

　俺の攻撃をかわしつつ、後ろへと退がるミラの顔に険しさが滲みはじめるのを見て、やっと手応えを感じた俺は、更にミラを後退させるため攻撃の手を加速させた。

　地上から空中へと移動し、互いに攻防を繰り広げる。

　俺とミラの力の差は、実際闘ってみると思った程なく、何とか互角の闘いとなっていた。

　これならいける……！

　そう思いながら、ミラの攻撃を受け止めていると、地上にいるトワが梨子さんに近付いて行くのが見えた。

　っマズイっ！

　そう。

　いまの俺の敵はミラだけじゃない。

　俺はトワの動きに気付くと、すぐにトワの動きを止めるため、地上に向かおうとした。

　だが、そんな俺の動きに
　
「どこを見ている！」

　ミラは大きな声を出すと、力のこもった右拳を俺の左頬にめり込ませた。