ミラの力が増幅している影響で、荒廃した街に生温い風が吹きはじめ、地も震えはじめる。

「トランクスさん……！」

　梨子さんの不安そうな声が背後で聞こえ、俺はその声に

「梨子さん。不安だとは思いますが、少しの間ここから離れていて下さい」

　背を向けたまま答えると、気を高め、超サイヤ人になった。

　超サイヤ人になった俺を見るなり

「トランクス、おまえも以前より強くなったようだな」

　ミラはそう言って俺を見据えると

「だが、それでもまだ俺には敵わない。そのことをこれから証明してやる」

　更に戦闘本能を剥き出しにするように、パワーを上げはじめた。

　その途端、バチバチッ！　と、俺とミラの間の空気が爆ぜる音がして、ゴゴゴゴ……！　と、大地も更なる唸り声をあげはじめた。

　思っている以上に、パワーアップしているミラを睨みながら、自分も父さんや悟空さんに修行をしてもらったことを思い返した。

　俺も修行をして強くなったはずだ！　決して負けはしない！！

　自分を鼓舞するように言い聞かせ、いまにも向かってきそうなミラを見据え身構えた。

　ジリッ……。

　ミラが腰を落とし、体勢を低くする。

　そして、次の瞬間――。

　目の前に現れたミラは、拳を振り下ろしてきた。

　速いっ……！

　拳を避けると、すぐに右足の蹴りが繰り出され、俺はすぐさま左腕でそれをガードした。

　骨に響く程の重たい攻撃に、思わず眉間に寄が寄る。

　攻撃を受けて、ますますミラのパワーアップを実感した俺は、目の前の敵にどう向かっていくべきか、思考を巡らせた。