顔を俯かせて、声を震わせる私に

「この状況で笑うなんて……。ますます可笑しな子ね」

　呆れた声はそう言うと

「自分が人質になるってこと、分かってるのかしら？」

　続けて小馬鹿にするような台詞が降ってきた。

　そしたらすぐに

「人質になんてさせないと言ってるだろ！」

　トランクスさんの大きな声が響いた。

　その声で、笑いのツボから少し抜け出すと

「あら。一人でその子を守れると思ってるの？　フフ。いいわ。ミラ、トランクスの相手をお願いね。私はその子を連れて、真琴っていう子のところへ行って来るわ」

　続いた赤い魔女の言葉で、私は笑いのツボからやっと抜け出した。

　浮いてた二人が下に下りて来ると、それまでにない威圧感を感じて、これからよくないことがはじまる予感しかしなくなった。

　そして、その予感はやっぱり当たってて

「トランクス、今日こそ俺はおまえに勝つ」

　いままで黙り込んでたミラって人は、そう言うと、両方の拳を握り、戦う態勢に入った。

　いつも、ブルマさんの家の庭で見てる「手合わせ」っていうものとは違う空気に、これから起こることに危険を感じた私は、自然とトランクスさんの後ろに隠れてた。

　そんな私に気付いて

「梨子さん、危ないですから下がっていて下さい」

　トランクスさんは前を見つめたまま、落ち着いた声でそう言うと

「ミラ！　今日こそ決着をつけてやる！」

　トランクスさんも腰を少し落とし、戦う態勢に入った。