やけにリアルな夢だったことは確かだ……。

　夜。部屋から見える、西の都の夜景を見つめながら、あの日見た夢のことを思い出していた。

　起きてからも引っ掛かりはしてたが、あの街を覆う宇宙船の夢が、予知夢だってことが分かったのは、事が起こってからだった。

　それまでは、どうでもいい予知夢というか、デジャヴのような夢だったのに、突然、あんな緊急性のある予知夢を見たことに腹が立つ。

「予知夢を見れる」とはいえ、私の見る予知夢はまだ断片的で、しかも普通の夢と予知夢の区別がついていない。

　だから、夢に見たことが実際に起こって、はじめて「あぁ、あの夢は予知夢か」と、気付くことになる。

　もし、あの日見た夢が、すぐにでも予知夢だと気付けていたなら、梨子が街へ買い物に行くのを止めることが出来た。

　それが出来ていれば、あいつが怪我をすることも、襲われることもなかっただろう。

　そう思うと「予知夢を見れる」という特殊な能力に、否定的だった自分を悔やんだ。

　この能力をもっと活かさなければ……！
　
　私は、輝く街を見据え、拳を握った。

　いま、私に出来ることは、自分自身を守るためにバリアを張れるようになることと、予知夢を正確に見られるようになることの二つだ。

　もし、トワとミラってヤツ等が私を襲って来る予知夢を見れたら、危険を回避することが出来る。

　よし……！　絶対に、予知夢を正確かつ完璧に見れるようになって、あのトワって女の薄笑いを引き攣った笑いに変えてやる……！

　私はそう決心すると、ベッドの中に潜り込んだ。