それを気にしないように
　
「梨子が怪我したり、襲われた原因は私です。あのトワとミラってヤツに私が狙われてる限り、またあの子も巻き込まれるかもしれない。だから、あの子は私たちの地球に帰った方がいい。そう思うんです」

　歩みを止めた恐竜を見つめ、私が梨子を帰そうと思った理由を言うと、少し間を置いて

「……そうですね。あいつ等は何をしてくるか分からない。梨子さんに危害が及ばないようにするには、それが一番いい考えだと思います」

　まるで、自分を納得させるかのように、トランクスさんは強く低い声で、私の意見に同意した。

　とうとう、その時がきた――。

　とでもいうような、腹を括ったトランクスさんの声に

「でも、あの子はこの提案を聞いて、多分嫌がると思います。この地球のこと気に入ってますから」

　慰めにもならないような言葉を呟いたが、それに続く言葉はいくら待っても返ってこなかった。

　

「あんただけ地球に帰りな」

　たった一言言うだけなのに、簡単に切り出せそうにない自分にイラついた。
　
　前に、梨子は自分だけ帰ろうと考えてた時があった。

　今から思えば、あの時帰してたらよかったなと、後悔が込み上げてくる。

　でも、あの時はまさか、あんな戦争みたいなことが起きるとは思ってなかったんだから、仕方がない。

　こうなれば、私だけじゃなく、誰か……ブルマさんにも梨子を帰す提案を話して、協力してもらおう。

　私はそう決めると、昼食を食べた後、ブルマさんのいる研究室へと向かった。