現実でその台詞を聞けるとは……！　

　そして、この人が言うと、とても様になる。

　そんなことを思ってから

「あの。梨子を避けてるのは何でですか？」　

　きっと、聞いて欲しくないだろう質問をすると、案の定トランクスさんは黙り込んでしまった。

「トランクスさんに避けられてるって、梨子がショック受けてましたよ。自分の方が避け始めたくせに、勝手だなとは言っておきましたけど」

　言い終わってから、ミネラルウォーターを口に含んだ。

　喉を潤わせながら、トランクスさんの答えを待ったが、返ってこず

「で、何でですか？」

　綺麗な横顔をじっと見つめもう一度尋ねると、トランクスさんは観念したように

「俺に会うと、梨子さんは襲われた時のことを思い出すかもしれない。だから、俺は姿を見せない方がいい……。そう思って、俺は梨子さんから距離をとることにしたんです」

　遠くを見つめ、ぼそりと答えた。

　そのようすを見て、トランクスさんは本当は、梨子のことを避けたくはないんだろうことが手に取るように分かった。

　振られたとはいえ、まだこの人は梨子のことが好きなんだな……。

　そう思いながらも、トランクスさんには申し訳ないが、私が昨夜考え付いた案を聞いてもらうことにした。

　短く息を吸い込み

「私、昨日考えたんですけど、梨子だけ私たちの地球に帰そうかと思うんです」

　そう言うと、トランクスさんがハッとしたように、私の方に顔を向けるのが、視界の端に見えた。