「あんた、梨子ちゃんのこと避けてるでしょ？」

　母さんにそう聞かれ

　勘づかれたか……。

　そう思った。

　だけど、勘づかれたならそれでいい。

　もう俺は、梨子さんの前に姿を現す気はない。

　そんな資格もない……。

　だから、これでいいんだ……。



　フリーザが街を襲ったあの日――。

　トランクスと、行方の分からなくなった梨子さんを捜した。

　途中、トランクスと別れ梨子さんを捜していると、フリーザ軍の二人に襲われている梨子さんを見つけた。

　紫色のヤツに押し倒される、恐怖で怯えた顔の梨子さんを見た瞬間、普段湧き上がる怒りより、はるかに大きい怒りが込み上げてきて、俺は梨子さんに覆い被さる、紫目掛け突っ込んでいた。

　相手はフリーザ軍でも下位のヤツだ。

　殴りつけた瞬間、紫の身体は吹っ飛び、近くのビルの壁にめりこんだ。

　もう一人の方も、忠告はしたが引き下がることをしなかったので、鳩尾に拳をめり込ませ沈めた。

　梨子さんを襲っていた二人を片付け

「大丈夫ですか、梨子さん？！」

　そう言って、俺は座り込む梨子さんに尋ねた。

「え？　あ、はい……大丈夫です……」

　何事もなかったように彼女は答えたつもりだろう。

　が、その声は僅かに震えていて、顔も強張っていた。

　そのようすに、さっきの押し倒され怯える梨子さんの顔を思い出し、頭から離れなくなった。