溜息交じりに聞くと

「たまたま、タイミングが合わないだけですよ」

　トランクスは、嘘っぽい張り付けたような笑顔を浮かべ答えた。

　そんな、嘘を吐くのが下手な我が子に呆れながら

「そう。それならいいんだけど。梨子ちゃんはあんたに会いたいみたいだけど、タイミングが合わないんじゃどうしようもないわね！」

　私は捨て台詞を言って席を立ち、レストランを出た。



　トランクスは夕食にも姿を現さなかった。

　昼間のこともあるから、私まで避けられてるのかもしれないわね……。

　そう思うと、無性に腹が立ってきて、普段より多めのアルコールを摂ってると

「ママ、何かあったの？」

　私を腹立たせてる息子と同じ我が子が、不思議そうに聞いてきた。

　だから

「トランクスがレストランに来ないのよ」

　顔を顰めて答えた後に、グラスを傾け、イラっとした感情をアルコールと一緒に喉の奥へと流し込んだ。

　こんな気持ちで飲んでも美味しくないお酒の味。

　分かってるのに、また続けてグラスを傾けようとした時

「そう言えば、最近お兄ちゃんと一緒にご飯食べてないね」

　トランクスが思い出すように呟いた。　

　それを聞いて

「あんた、何か知らない？」

　少し離れたテーブルに座る梨子ちゃんに聞こえないように、声を潜め聞くと

「え……？！　何かって……何？」

　トランクスは声を潜め、聞き返してきた。

　理由を知る手掛かりすら持ってなさそうなトランクスの反応に

「ああ、いいわ……」

　私はがっかりしながら、グラスを傾けた。