未だ、家族がいる地球に帰る術は分かっていない。

　だが「必ず帰ってやる……！」その気持ちを心の奥でたぎらせながら、俺は再び風呂場へと足を進めた。

　シャワーを浴び風呂場を出ると、向こうの方から晩飯を作る匂いが漂ってきて、途端に空腹を覚えた。

　修行が終わった後、いつものように、トランクスと二人で無料（ただ）になる大盛りの飯を食ってきたはずだが、美味そうな匂いがすると、腹は正直に反応する。

　今日は、あの女が飯を作ると言っていたが、大丈夫なのか……。

『妊娠は病気じゃないんだから！』

　以前ブルマが言ってた言葉を思い出しながらも、さっき見た出産間近の大きくなった腹を思い出し、俺は飲み物を取るついでを装い、美味そうな匂いが漂うキッチンへと向かった。

　近付くにつれ、濃くなる料理の匂いを吸い込みながらキッチンへ入ると、そこには苦しそうに腹を抱えうずくまる女の姿があった。

「っお、おい！！　どうした！！　大丈夫か？！」

　慌てて声をかけると

「っき、きた……かも……！」

　女は苦しそうに、声を絞り出した。

「きっ、きただと！？　おっ、おい……！！」

　ただならぬ事態を目の当たりにし、さすがの俺も心配になり女の顔を覗き込むと、女は俺の腕を力いっぱい握り

「うっ、産まれそう……！」

　信じられんことを口走りやがった。　

「うっ、産まれそうだと？！」

　こんな時に限って、この家の人間は出掛けていて誰もおらず

　クソッ……！　どうする？！