「トランクス。続きをはじめるぞ」

　座っていた太い木の根から腰を上げ、俺は気を最大まで高めると、超サイヤ人ブルーになった。　

　そんな俺を見て、トランクスも「はい！」と返事をすると立ち上がり、自身も超サイヤ人へと姿を変えた。　

　この姿になって息子とやり合えるのも、人が踏み込んで来る気配がない、この樹海という場所のおかげだ。

　俺は超サイヤ人になったトランクスを見据え

「全力で行くぞ。いいな？」

　そう言うと、構える息子へと向かって行った。

　


　トランクスとの修行を終え、梨子の家へ戻ったのは、陽が傾きはじめた頃だった。

　すっかり汗は乾いていたが、シャワーを浴びるのが習慣化しているため風呂場に向かっていると、廊下で梨子の姉に出くわした。

　俺を見るなり

「あ、おかえりなさい」

　声をかけてきた女に「ああ」とだけ答えると

「トランクスさんも帰ってます？」

　そう聞かれ

「あいつは真琴のところだ。剣道とかいう遊びの相手をするらしい。だから、帰りは少し遅くなると言っていた」

　息子が言っていたことを伝えると、女は「あ、そうなんだ」ふと考える顔をしてから

「今日はお母さん出掛けてて、私が晩御飯作りますから！　楽しみにしてて下さいね！」

　そう言ってにこりと笑うと、出産前の大きく膨らんだ腹に手を当て、ゆっくりとキッチンの方へ消えて行った。　

　その後ろ姿に、ブラを出産する前のブルマを思い出し、俺は別の地球にいる家族の顔を思い浮かべた。