マコちゃんの後に付いて道場の方に戻ると、少ししてから柴先生が現れてギクリとした。

　何もやましいことはないんだけど、柴先生を見ると、むかしからお巡りさんを見掛けた時みたいな、あの何とも言えない緊張感を感じちゃう……。

　柴先生は、チラッとマコちゃんの後ろにいる私……というよりトランクスさんに、戸惑いと不信感が混じったような視線を向けてから、マコちゃんと言葉を交わしはじめた。

　どうしよう……！　
　トランクスさんのこと、何て説明しよう……！？

　動揺しながら、二人のやり取りを聞いてた私は、二人の話しが終わるとすぐ、柴先生の注意を自分の方へ向けるため

「っご無沙汰してます！」

　頭を下げ、挨拶した。

　そしたら、思惑通り

「ああ、久しぶりだね」

　柴先生は私の方に視線を移し、少し目元を緩め

「真琴、梨子君と約束があったのか？」

　察したように、マコちゃんに尋ねた。

「まぁ。はい……」

　少し濁して返事をするマコちゃんに、柴先生は黒々とした瞳を一瞬だけ大きく見開いてから

「そうか。それは、悪いことをしたな……」
　
　マコちゃんと私を交互に見て、申し訳なさそうな表情をした。

　そんな柴先生に、マコちゃんは

「いえ。大丈夫です」

　気にしないで下さい。って感じで、ハッキリした口調で答えてから

「実は、先生にお願いしたいことがありまして……」

　柴先生の顔色を窺うように、声を潜めた。