パァンッ！！　パァンッ！！

「シャッー！」

　先程の子供たちより、気迫も力強さもある竹刀の音と声が響く。

　これまで、真琴さんの打ち込み稽古の相手を幾度となくしてきたが、いま、久しぶりに彼女の竹刀を受けて、その振る速度と強さが格段に増していることに驚いた。

　俺に稽古の相手をして欲しい――。

　そう言った真琴さんの言葉の意味が解かると同時、俺は自然と自分の気が高まっていることに気付いた。
　
　真琴さんが振る竹刀に、神の気が籠っているのは間違いなく、確かにこれは普通の人間では受けられないだろう。そう思った。

　それなら、俺がいくらでも相手になろう。

　そう思い構えていると、何度目かの打ち込みをしようと竹刀を構えていた真琴さんが、スッと竹刀を下ろし、構えを解いた。

　そして

「ありがとうございました」

　そう言って深く礼をした。

　突然終わった稽古に「え？」と目を瞬かす俺に、真琴さんは目配せをし、そのまま道場の方へ戻って行ってしまった。

　傍で見ていた梨子さんと顔を見合わせ、二人で真琴さんの後に続き道場の方に戻ると、しばらくして、浅黒い精悍な体つきをした男性が、庭の方から姿を見せた。

「おかえりなさい」

　真琴さんが男性に声をかけると、男性は重厚感のある声で

「急にすまなかったな。ありがとう」

　そう言ってから、真琴さんの後ろに立つ俺と梨子さんへと視線を向けた。