「今日の朝ごはんは、私が作りますね」

「あら。いいの？　佳奈ちゃん」

「はい。パンケーキでいいですか？」

「もちろん！　ね？　トランクス？」

「ええ」

　ブルマが佳奈に「希望」を与えてから、二週間。

　佳奈は少しずつだが、明るさを取り戻しつつあった。

　とはいえ、これまで通りの佳奈に戻ったかと言えば決してそうではなく、表情を曇らせている時間が少なくなった。というぐらいのものだった。

　ただ、そんな佳奈を見て

「立ち止まってるよりはいいじゃない」

　ブルマはそう言ってゆったりと構え、佳奈の心の回復は、時の流れに任せるといったふうに、佳奈に接していた。

　そして、トランクスもブルマの方針に沿い、佳奈に対して大袈裟に気遣うことなく、ごく自然に、これまで通り過ごすよう心掛けていた。

「どうぞ」

「まぁ！　美味しそうじゃない！」

　テーブルに並んだ皿には、パンケーキに目玉焼きにベーコン。そしてレタスが添えられている。

　カフェのモーニングさながらのワンプレートに、感嘆の声を上げるブルマに

「温かいうちにどうぞ」

　佳奈はにこりと微笑んだ。

　その可愛らしくもどこか儚げな笑顔は、子猫を見た時のような、胸がキュンと締め付けられる感覚を覚える。

　ブルマはそんな佳奈の笑顔に応えるように

「ありがとう。それじゃあ、いただくわね！」

　とびきりの笑顔を向けると、ナイフとフォークを手に取り、朝食を食べ始めた。