ブルマは界王神に挑むように大きな声を出すと、次には佳奈の背中をドン！　と強く叩き

「それじゃ、私はいまから早速手掛かりを探すから、研究室にこもるわね！」

　ベッドから立ち上がった。

　その瞬間には、部屋の雰囲気が変わっているのを感じ、トランクスはハッとした。

　きっかけが、佳奈の背中を叩く音だったのか、ブルマの張りのある声だったのかは分からない。

　だが、しかし。

　確実に、部屋に立ち込めていた黒いモヤのようなものが取り払われ、いつもと同じ、陽の当たる彼女の部屋に戻っているような気がした。

　リセットされた瞬間を目の当たりにし、トランクスがぼんやりしていると

「ほら、トランクス。あんたも手伝って！」

　ブルマに腕を引っ張られ、佳奈の部屋から連れ出されたのだった。


　
　研究室に向かって歩く母の背中に

「母さん……本当に、佳奈さんの地球を復活させることなんて出来るの？」

　不安げに尋ねると、予想通り

「さあ。だから、それをいまから調べるんじゃない」

　やっぱりハッタリだったか……という答えが返ってきた。

「見つからなかったらどうするのさ！」

　佳奈を思い、つい出た強い口調に

「見つかるまで調べて、調べて……調べまくるのよ！」

　ブルマは毅然とした口調で返すと

「いまの佳奈ちゃんに必要なのは希望よ。佳奈ちゃんに希望を与えられるなら、例え無いと分かっていても、私は手掛かりを探すわ」

　何の迷いもない。

　それを示すように、廊下を真っ直ぐに進んだ。