カイオウシン。

　ブルマとトランクスがそう呼ぶ人物は、明らかに人ではなかった。

　だが、いつか観た、映画の中に登場した宇宙人に似ていたからか、不思議と怖さはなかった。

　その、人間離れした容姿の界王神と、界王神の付き人だというキビト。

　夕食を食べ終えた佳奈は、あてがわれた部屋へと戻ると、ベッドに倒れ込むなり、二人のことを思い返した。

　それと同時に

『佳奈さん。あなたの故郷である地球は、あなた方第六宇宙の人間同士の争いによって、滅んでしまったのです』

　哀しみ……いや、憐れむように発せられた、界王神の言葉を思い出した。

　はじめは、界王神の言ったことが理解出来ず、ただぼんやりとしていた佳奈だったが、あの場の空気が、突然暗く重たいものへと変容したことで、徐々にただならぬ事を聞かされたのだと理解した。

　それでも、佳奈にしてみれば、自分の住んでいた地球が滅びたなど到底信じられるわけがなく、他人事のように思っていた。

　しかし、そう思う反面、その話しを全くのデタラメだと言える自信が佳奈にはなかった。

　何故なら、テレビでは連日、世界各地で起きている争いのニュースが流れていたからだ。

　自分含め、日本人のほとんどが、対岸の火事としてその報道を見ていた。

　だが、電車に揺られ、都内へと向かっていたあの日。

　それは恐らく起こってしまったのだ。

　覚えているのは、突然身体がふわっと浮いた。

　それだけだ。

　気付いた時には、トランクスに抱えられ、空を飛んでいた。