「佳奈ちゃんがこの地球に来た原因が争いのせいって……。それ、どういうこと？」

　ブルマは界王神を見据えた。

　界王神は、ブルマから送られてくる、圧を感じる視線を避けるように俯くと

「これは、あくまで私の考えであって、断言は出来ないのですが……」

　そう言い添えてから

「争いの最中に使用された兵器によって空間が歪み、ワームホールのようなものが発生したのではないかと……」

　語尾を濁し答えた。

「ワームホール……？」

　聞きなれない単語に、首を傾げるトランクスに

「ワームホールっていうのは、時空を繋ぐトンネルみたいなものよ」

　ブルマは「ワームホール」について簡単に説明すると

「じゃあ、佳奈ちゃんは、ワームホールに呑み込まれてこの地球に来たっていうの？　でも、そんなモノが発生するなんて……！　とんでもないエネルギーが必要なはずよ……」

　次には眉を寄せ、険しい表情を浮かべた。

　そんなブルマを見て

「さすがブルマさん……。その通りです」

　界王神は静かに頷き

「しかし、もし。惑星が滅ぶ程の兵器が使用されていたなら、考えられなくもありません……」

　暗く、静かな口調で続けた。

　最初に「私の考え」と言って、界王神はぼかした言い方をしたが、本当はそれが事実なのではないだろうか。

　哀しく光る、界王神の黒い目を見て、ブルマは思った。

　もし、そうならば、佳奈には衝撃的な話しになる。

　事実を話さないのは、界王神なりの配慮なのだろう。

　しかし。まさか、そんな兵器が使用されるような争いとは……。